ちはなスタートアッププログラム2025 第一回 女性起業家トークセッション 開催レポート

「千葉で起業の花を咲かせよう」を合言葉に、千葉で起業を目指す女性のための起業セミナー「ちはなスタートアッププログラム」。

その第一回が2025年7月26日(土)に千葉市役所本庁舎にて開催されました。

そこで行われた女性起業家トークセッションの様子をお伝えします。

登壇いただいた二人の女性起業家とファシリテーター

ファシリ 武田
ファシリ 武田

それでは、初めにお二人に自己紹介をお願いしたいと思います。
まずは村井さんからお願いします。

村井 真紀さん
村井 真紀さん

千葉市若葉区みつわ台という住宅街中にある女性専用ジムを経営しております村井真紀と申します。

 

2018年の9月に運動初心者のためのジムとしてオープンして今年で7年目です。定員5名の小さなレッスンスタジオですが、ストレッチや筋トレ、エクササイズ、ダンス、ヨガなど20種類以上の幅広いメニューを提供しています。

 

体だけではなく、心のケアにも力を入れていて、レッスンの最初と最後にアロマを取り入れたり、自律神経が整う三行日記というものを取り入れているのが特徴です。また、ダンスパーティーを開催したり、塩麴づくりのレッスンなど、コミュニティづくりもしています。

 

私はもともと会社員で運動が大嫌いだったのですが、30代の時に入ったスポーツクラブでボクササイズにハマって、運動後の達成感などを味わうようになって、身体も心もリフレッシュするようになったんです。

 

そのころ、会社でちょっとパワハラにあったのですが、運動していることでメンタル面も強くなったので、部署異動を願い出て、素晴らしい上司と仕事に巡り合うことができました。

 

その後、「健康づくり」をライフワークにして運動初心者の方が長く継続するジムを作ってみたいと思い起業に至りました。

ファシリ 武田
ファシリ 武田

ありがとうございます。では次に寺西さんお願いします。

寺西 悠さん 
寺西 悠さん 

in your roomという屋号で水引の小物を製作している寺西悠です。よろしくお願いいたします。

 

2020年の冬に自宅近くのフラワーアレンジメント教室でリースを作った際に「自分でもこんな素敵なものが作れるんだ」という喜びや達成感を感じたことをきっかけに、ハンドメイドの世界に足を踏み入れました。

 

お正月のお花のアレンジで水引というものに初めて出会いました。最初はとても難しくて、投げ出したいくらい嫌になったのですが、その後、夢に出るくらい水引が気になってしまい、手芸屋さんなどで材料を買って作り始めました。

その後、フラワーアレンジメントの先生に、ハンドメイドを仕事にすることについてアドバイスをいただいて、in your room という屋号で販売をスタートしました。2024年の3月に夫の転勤で千葉市に引っ越してきたのですが、それ以降もイベントに出店して販売する、ということを続けています。

 

昨年の秋に、ちはなスタートアッププログラム(ちはなSUP)のチラシを見て、セミナーに参加したことをきっかけに、起業や開業についてとても身近に感じることができました。また、販売だけでなくレッスンもしたらどうか、とアドバイスをいただき、それならきちんとしたほうが良いと思って、今年の1月に開業届を出しました。

現在は、マルシェの出店とレッスンが活動の中心です。マルシェには、昨年受講したちはなSUPの受講生の仲間とも一緒に出店しています。レッスンは、自宅や緑区のカルチャーセンターで行っていますので、ご興味ある方はご連絡ください。

ファシリ 武田
ファシリ 武田

ありがとうございます。

 

それでは、自己紹介でも簡単に触れていただきましたが、もう少し、起業のタイミングやきっかけ、何が後押しになって起業に至ったかを教えていただけますか?

村井 真紀さん
村井 真紀さん

一番の起業のきっかけは、スポーツクラブの退会率が高い、ということを知ったことです。運動初心者の場合、入会しても半年で半分くらい辞めてしまうんです。

 

辞めてしまうと続かなかったことに対して自己嫌悪に陥ったりしてしまいます。私自身は運動で恩恵を受けたので、そういう方を見て、すごくもったいないな、と思っていました。

 

そこで、ジムをやりたいと漠然と思っていた時に、千葉市商工会議所の創業スクールに参加しました。

 

そこでの学びや、その後に月一回の面談で起業までを伴走してくださったことで、夢物語だったジムが現実味を帯びてきて、自分のできる範囲のスモールスタートでやろうと考えることができました。

寺西 悠さん 
寺西 悠さん 

私の夫は、転勤のある仕事なのですが、引っ越しが続く生活のなかで、継続できる仕事をしたい、手に職を持ちたい、という気持ちを持つようになったのがきっかけの一つです。

 

また、ハンドメイドをするというのは結構お金がかかります。その材料費は自分の貯金を切り崩したり、家計からこっそり持ち出したりして不健全だなと思っていました(笑)。

 

そうしたことから、材料費だけでも自分で稼ぎたいという気持ちになり販売を始めるようになりました。

ファシリ 武田
ファシリ 武田

ありがとうございます。起業と言うと大きなものをイメージしがちですが、お二人とも出来る範囲の小さなところからスタートして事業を育てていますね。

 

では、ここでワークライフバランスついてお尋ねしたいと思います。起業すると365日仕事漬けで、独りブラック企業になりがちですが、お二人はどうバランスをとっていますか?

寺西 悠さん 
寺西 悠さん 

ワークライフバランスは私にとっても重要な課題です。

 

子どもがいないこともあって、仕事に掛けられる時間が多いため、一時期、仕事のことで頭がいっぱいになってイライラしたり、ヘトヘトだったことがありました。

 

そこで、製作、休息、出店とスケジュールを立てることで解消しました。また、眠い時はがまんせずに寝る、やる時はやる、という風にオンとオフを切り替えるようにしています。

村井 真紀さん
村井 真紀さん

私の場合、シングルで子どももいないので寺西さんよりもっと自由に時間を使えます。

 

境目が無いので、365日24時間仕事のことを考えちゃいますし、体力もあるし、好きなことなのでずっとできちゃう。でもやっぱりどこかでオフを入れないと心がやられてしまうことがあります。

 

そこで1日のなかでオフを入れるとか、自分の時間を取るようにしています。去年は、ひとりで上高地に行って自然の中で内省する時間を取りました。

 

あと、同じ個人事業主でインストラクターをしている方に今度のやり方などを建設的に話す時間も設けています。起業して2年目の2020年にコロナがあって、スポーツクラブが強制的に休業になってリセットできたのですが、あのままいってたら身体も壊していたかもしれません(笑)

ファシリ 武田
ファシリ 武田

お二人ともきちんと休息をとりながら、バランスを取っていらっしゃるんですね。

 

では起業する際、ご家族や身近な方などから何か言われましたか?

寺西 悠さん 
寺西 悠さん 

夫は帰りが遅いこともあって、日中私が何をしているのか知りません(笑)。

 

でも、私は自分から夫に「今日何個作った」とか「今日何があった」などの報告するので、販売を始める時には特に反対などはありませんでした。

 

ただ、「開業届を出す」と話した時には「離婚とか考えてるの?」とちょっと警戒されました(笑)その時は正直に「家計から材料費を持ち出していたから自分で稼ぎたい」と伝えると納得してくれました。

村井 真紀さん
村井 真紀さん

会社を辞めるのが40歳前だったので、同僚などからは「シングルだし、社会保険とかもなくなってどうするの?」と年齢のことも含めて色々言われました。

ファシリ 武田
ファシリ 武田

今の時代は会社に勤めながら「副業で好きなことをやる」という方も増えていますが、会社を辞めてビジネス一本に絞るタイミングって悩みますよね。 

 

会社を辞めて生活していけるのかな・・・と。村井さんの場合、スパッと会社を辞められたのはどうしてだと思われますか?

村井 真紀さん
村井 真紀さん

私は会社員生活が長かったのですが、その間に貯金をしてきました。ある程度、働かなくても細々であれば生活できる金額を貯めていたので、それが担保というか安心材料になりました。

 

あと、私は二つの事を同時にできない性格なので。一つのことを手放すことで、あらたに得るものもあると思って「失敗してまた働けばいいや」と思って会社を辞められました。

ファシリ 武田
ファシリ 武田

起業したところで最初からいきなり儲かるわけでもなく、生活費が稼げるようになるには、ある程度時間がかかる人も多いと思います。そうした心配に対してはどうですか?

寺西 悠さん 
寺西 悠さん 

先日、今年の上半期分の収支を計算してみました。 

 

すぐに商売になるとは思っていませんでしたが、利益が少ないな~と思う反面、思ったよりも「利益はこれだけあるのだ!」と前向きに捉えるようにしました。

村井 真紀さん
村井 真紀さん

私の場合も、最初から大きく稼ごうと思っていたわけでなく、新規の会員をいっぱい増やすより、良いサービスを提供してお客様との信頼関係を築くというところにフォーカスしていました。 

 

実際に継続して長く来てもらえる方が増えて退会率が低くなっているので助かっています。

 

数字がとても苦手なのですが、シングルということもあって、2~3年前からYouTubeでお金の勉強をしてNISAとか積み立てNISAなどをして備えています。

 

あと、7年目で初めて料金の値上げもしました。私もインストラクターも含めて今までの積み重ねを経てサービスを良くしていったという自負もあるので、勇気もいりましたが値上げさせてもらいました。その結果、利益率のアップにつながっています。

ファシリテーター 武田
ファシリテーター 武田

起業して一番楽しかった、嬉しかったと感じた瞬間のエピソードがあればお聞きしたいです。

寺西 悠さん 
寺西 悠さん 

毎回なのですが、対面販売の時にお客様に選んでもらえる、これが欲しいと言ってもらえることが、何にも勝る喜びです。 

 

自分が考えて作り出したものを認めてもらえる、というのは他に無い喜びですね。

村井 真紀さん
村井 真紀さん

私のジムは「女は40からが面白い」というのをキャッチコピーにしているのですが、「運動は無理」とか「身体が硬い」とか最初言っていた方が、継続していくうちに「運動して気持ちいいよね」となってくださるんです。 

 

運動を継続することで効果が目に見えて感じられて、心が前向きになって、痩せて自己肯定感も上がって、「運動が習慣化できてよかった」と言われるのがやっぱり一番嬉しいですね。

ファシリテーター 武田
ファシリテーター 武田

お二人ともすごく幸せそうに起業していらっしゃるように見えますが、ぶっちゃけ起業は楽しいことばかりだけじゃないという側面もありますよね。

 

今だから話せる、やらかしたな~とか大失敗だわ~というエピソードはありますか?

寺西 悠さん 
寺西 悠さん 

大失敗と言うか、毎回失敗の連続なんですけれど、自分の作風と来場するお客様層がマッチしないイベントに出た時ですね。

 

素通りされるとか、作品を見て「高い」と言われたり、お子様連れで来て「いらないよね~」と目の前で会話されたり。 

 

自分に合うイベント・販売場所を見つけることに関しては失敗の連続でした。

ファシリテーター 武田
ファシリテーター 武田

そういう失敗はどうやって乗り越えたんですか?

寺西 悠さん 
寺西 悠さん 

まず自分の作品を誰のために作るか、というのを考えました。

 

ペルソナ分析のようなものですが、私の場合は、親戚の叔母をペルソナとして設定して、その人が喜んでくれるにはどうしたらいいかな、と考えて製作することにしました。

 

そして、イベントなどの出店に関しては、当初は片っ端からどんなイベントでも出ようとしていたのですが、現在は自分が出たいと思ったイベントにお客さんとして行ってみてから申し込むようにしています。

 

千葉市内は一般から参加者を集めているイベントが少なく、紹介制のマルシェも多いのですが、そういうイベントにはお客さんとして行ってみて、積極的に主催の方に自己紹介するなどして、出店に繋げています。

ファシリテーター 武田
ファシリテーター 武田

村井さんはどんな失敗談がありますか?

村井 真紀さん
村井 真紀さん

失敗とは少し違うかもしれませんが、最近、私にとって大きな出来事がありました。

 

長く通ってくださっていた会員様との間で、ルールに関する認識のズレが生じることがありました。お伝えの仕方には十分配慮したつもりでしたが、思いがけず感情的な反応を受けることになり、私自身も戸惑いを感じました。

 

それでも関係を続けようと努力しましたが、その後も同じようなことが重なり、他の会員様への影響や、私自身の心身のバランスも考え、最終的にはお別れするという判断をしました。

 

もちろん、長く通ってくださった方への感謝の気持ちはありましたし、決断には葛藤もありました。ですが、小さなジムではすべてのご要望に応えることが難しいこともありますし、誰に・どのような価値を届けたいのかという“軸”を大切にすることが、結果的に自分を守ることにもなると実感しました。

 

女性の起業では、つい“誰かの役に立ちたい”“期待に応えたい”と自己犠牲してしまいがちです。でも、どこかで線を引く勇気も必要だと学びました。

ファシリテーター 武田
ファシリテーター 武田

長く通ってくださったお客様との関係を見直すというのは、売上面でも精神的にも大きなことだったのでは? SNSなども気になったのではないですか?

村井 真紀さん
村井 真紀さん

はい、実際とても怖かったですし、感情が揺れました。

 

ですが、自分の気持ちと向き合って、一人の経営者として冷静に判断することが必要だと思い、対話の内容をAIで文章にして何度も練習して備えました。

 

感情に流されず、準備をしっかりすることで、自信を持って進めることができました。

寺西 悠さん 
寺西 悠さん 

私の場合は、マルシェなどではお客様とは一期一会になることが多いです。

 

そうした時に「高いからいらない」とか「欲しいのが無い」と言われると正直へこみますが、自信のある作品を販売しているので、「こういう方もいるんだ」とか「このイベントは自分に合わなかったんだ」と切り替えて気持ちを立て直すようにしています。

 

本当の自分はマイナス思考で悩みやすいのですが、作品への愛情で乗り越えています。

ファシリテーター 武田
ファシリテーター 武田

素晴らしい考え方ですね!
 

それでは最後に、ご自身が起業してみて、起業前にもっとこうしておけば良かったとか、これはやらないほうがいい、ということがあれば教えてください。

寺西 悠さん 
寺西 悠さん 

起業する前に体力をつけておけば良かった、と思います。

 

もともと家にいるのが好きなインドア派なので、マルシェに出店すると体力を消耗してしまいます。その点は改善したいところです。

 

元気でいることは継続して活動するのに必須だな、と思っています。

村井 真紀さん
村井 真紀さん

女性ホルモンの影響で40歳以降、ゆらぎが心身ともに出てきます。

 

介護が始まったりして、ライフステージも大きく変化するので、自分の時間の確保も難しい。頑張るのも良いですが、自分に休息を与えてあげることが大切です。

 

あと一番思うのは、私は全部自分でやろうとした分、すごい遠回りしちゃったので、成功している人や少し先にいる先輩にもっと話を聞けばよかったと思っています。

 

今は情報もたくさんあるし、先輩に出会いやすくなっているので、そうした機会をぜひ活用してみてください。

ファシリテーター 武田
ファシリテーター 武田

ありがとうございます。 

 

本日はお二人から貴重なお話しをたくさん伺うことができました。突っ込んだ具体的なエピソードや失敗談までお話しいただき、本当にありがとうございました!

途中、村井さんの声掛けで参加者全員でストレッチをするなど、終始リラックスした雰囲気でトークセッションが行われました。

ご登壇いただいた村井さん、寺西さん、どうもありがとうございました!

【MEMO】
村井 真紀さんの経営する ストレス解放ジムMoMo 
寺西 悠さんが主宰する in your room(Instagram)

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